コロラド州ボルダーの解剖実習から帰国しました。
すでに仕事復帰して数日ですが、とりあえず身体の把握の質と施術が明らかに向上しています。
見えているつもりだったものが明確に見えるようになったとでも言いましょうか。
このカリキュラムは世界中でもほんのわずかな人にしかチャンスがなく、さらに参加費と渡航宿泊費と一週間以上仕事を休むというコストとリスクがかかります。
なので参加者は大体フツーの人ではありませんw
過去二回、ホルマリン処理のご献体の解剖を行いましたが、今回の冷凍献体解剖から学ぶことは全てが新鮮で膨大でした。
それは筋や骨や内臓などの器官の確認ではなく、その周囲の膜構造やその層の間のコネクションの在り方、固定と潤滑のプロセスを見られたところ。
だいたい本にあるのは実に美しいイラストの解剖図ですが、実際には脂肪層があります。その中に守られるように多くが存在していたり潤滑や栄養、人によって脂肪の色と質が異なったり、あらゆる部位に存在するその意義に、初日からコーフンを抑えきれませんでした。
病変ではなく生活習慣の中で形成された腹膜や胸膜の癒着も多くのご検体で見られた。
オペ後の癒着とは全く異なるそれをまさに見られた!
プロテオグリカンの成分量やコンドロイチン硫酸との滑走性の違いなども、まさに今目の前に起こっている現象として見て触れたこと。生体に近い状態だからこそ今しか見られないもの。リアルに勝るものはありません。
剖出の難しいところも天才解剖学者トッドが美しく柔らかなメスさばきで鮮やかに見せてくれた。
アナトミートレイン著者のトム・マイヤーズが毎日素晴らしい講義をしてくれた。
Kinetikosのカオリさんはいつもハンパない声量で完璧に翻訳してくれた。
スタッフの方々にもとても助けていただいた。
あと、忘れてはならないご献体に感謝。